令和4年度新入生への学長メッセージ

令和4年度入学式式辞

新入生の皆様、本日のご入学、誠におめでとうございます。私共教職員一同、そして在学生を併せて、心よりお祝い申し上げます。また、保護者の皆様をはじめとして、本日の入学に至るまで、新入生をお導き頂きました多くの関係者の皆様に厚く御礼申し上げますと共に、お祝い申し上げる次第です。本日の入学式は皆様の歓迎式典でもありますので、本来であれば、盛大に挙行すべきところではありますが、新型コロナウイルス感染症が未だに終息していない現状においては、簡略化して行わねばならず、この点、お許しいただきたいと思います。

さて、このコロナ禍によって、皆様は過去二年間、高等学校あるいはその他の場所で、勉学だけに止まらず、生活全体にわたって多くの制約や辛抱を強いられてきたと思います。本学も状況は全く同じでした。新入生の皆様を迎える四月には何とかなっていて欲しいと願っておりましたが、間に合いませんでした。しかし、過去二年間のコロナ禍の経験によって、私共は、どうやって学生の学修環境を維持し、カリキュラムポリシーに則った教育を継続するかということについて、多くの事を学び、かつ、実行して参りました。新入生の皆様の中には、コロナ禍における大学生活について大変不安な気持ちで本日の入学式に臨まれている方も少なからずいらっしゃるかと思います。私共は、もちろん平常時と100%同じようにはいきませんが、大学で学ぶべきことをすべて学修できる環境を皆様に提供できる準備を整えて参りました。そのためには皆様のご協力も不可欠ではありますが、明日から、安心して通学してきて頂ければと思います。

本日の入学式にあたり、大学とは如何なるところかをお話ししたいと思います。大学そして大学院は最高学府とも高等教育機関とも呼ばれております。一体、何が最高で、何が高等なのでしょうか?一番難しいことを教えるからでしょうか?私はそうは思いません。高等学校までの教育では、わかっていること、あるいは正しいと思われていることを教えます。従って、使われている教科書でも正しいことが記載されているかどうかが常にチェックされています。しかし、大学では、何がわからないかを教えます。世の中の真理がすべて解明されているわけでは、勿論ありません。世の中はわからないことだらけです。ですから、我々は学問をするのです。大学の教員は何が未だわからないのかを学生の皆さんに伝える一方で、教員自身はそのわからないことをわかるようにするために研究をしています。そして、わかった結果を順次、学生に伝えて行きます。即ち、大学とは教育と研究が車の両輪のように動いている場所であり、故に学問の最先端に位置する機関と言えるのです。

一方、学校は、教育を集団で行なう場所ですが、大学はその中の最後の学校に位置します。大学を卒業後も学びは続きますが、最早、集団で行われることはありません。集団で行われる教育では、多人数に対して同一の内容を教えます。人によって異なることを教えることは有り得ません。しかし、人には皆、個性が有りますから、学問の上でも興味を持つ対象はそれぞれ異なります。そうなりますと、集団の教育では最早対応できず、個々人がそれぞれの方法で学問を進めるしかありません。大学とは、実は、個々人が、その後の学びを続けるための準備をする場所であります。

例えば、学問はたった一人で行うのでしょうか?稀にはそういう人もいますが、普通は共通の興味をもつ人が集まります。この場合、大学のクラスもそうかも知れません。疑問を持ったことが教科書に書かれていない時、どうするのでしょうか?例えば図書館に行きます。図書館の司書さんに疑問を検索する方法を教わります。あるいは、疑問について専門家に聞きたいと思った時、どうしたら良いでしょうか?教員のところに相談に行って、その分野の専門家を紹介してもらいます。このように、数え上げていくと切りがありませんが、要は、自分が主体的になって学問をする時の方法を身につけることが大学教育の重要な目的の一つです。そのためには、学生の間に様々なことを経験することが大事です。皆様にはこれから十分な時間がある筈です。興味のある分野を納得がゆくまで探求することが出来ます。このように常に探求心を持つことが、結果として大学で教養を身につけることに繋がります。

この二年間、新型コロナウイルス感染症のピーク時には、過酷な環境下で医療に従事する医療職の人達の姿が連日のように報道されました。そのような状況を見聞きした上で、皆様は医療職を目指し、そして、本学に入学されました。おそらく周囲からの様々な雑音があったにも拘わらず、医療の道に進もうという強い志をお持ちになって努力されてきた皆様に、心から敬意を表します。さらに、数多ある医療系大学の中から本学を選択されたことに、心から感謝申し上げます。

医療職を志す皆様の心に熱い思いがあることに疑いの余地はありませんが、その熱い思いだけでは、勿論、医療職にはなれません。医療は、科学である医学を根拠として行われる仕事です。科学とそれに基づく技術の裏付けがあることが医療の必須条件です。私共は、皆様に、熱い思いを手の温もりとして常に持ち、その一方で科学の眼を持った医療人になって頂きたいと思います。特に大学院の皆様に申し上げたいことは、学問の世界では、単なる一つ一つの知識の集積に加えて、深い思索、思考をすることによって、初めて、知識が知恵へと変換されてゆくということです。私たちは、学部、大学院のすべての皆様に知恵のある医療人になって頂きたいと思います。卒業するときに皆様がこのことを実感できるよう、私共は精一杯お手伝いをさせて頂きますので、皆様には、今日から、明るく希望に満ちた、そして充実した大学、大学院生活を始められますよう、切に希望いたします。

以上、大学を代表いたしまして、皆様の歓迎の辞を述べさせて頂きました。

令和4年4月4日
学校法人花田学園 東京有明医療大学
学長 林 洋