Hanada Athletic Trainer Symposium 開催報告

2017年12月24日 お知らせ

2017年10月29日に本学にて、Hanada Athletic Trainer Symposium ~アスリートを支えるプロフェッショナルの流儀~ が開催されました。 本シンポジウムでは花田学園で教鞭をとりつつ、アスレティックトレーナーとして様々な現場で活躍する先生方から、現在の活動内容や、仕事に就いた経緯、そして「夢を叶えるにはどうしたらよいか」などをお話いただきました。 当日は約50名の参加者にご来場頂きました。 シンポジウム内容を紹介します。

高校・大学のスポーツにおけるトレーナー活動

1.「高校におけるアスレティックトレーナーとしての活動」

竹原 良太朗先生(花田学園 アスレティックトレーナー専攻科)

竹原先生は西武学園文理高校硬式野球部でアスレティックトレーナーとして活動されています。はり師、きゅう師、あん摩指圧マッサージ師の免許を所有されており、スポーツ障害を持つ選手に対しては必要に応じて治療やリハビリテーションを行うこともあるそうです。 竹原 良太朗先生
トレーナーを目指したきっかけ
高校生の時に野球部でトレーナーから指導や鍼灸治療を受けていたことからトレーナーという仕事に魅力を感じたそうです。選手に触って治療するためには医療資格が必要と考え、はり師、きゅう師、あん摩指圧マッサージ師の免許を取得しました。
喜び、やりがい
中学校を卒業したばかりの選手が人間的に成長していく過程を見ることができ、選手達がチームで活躍してくれることが、トレーナーとしてのやりがいであり、面白さです。 自分が関わった選手が卒業後の進路として医療関係を目指してくれることは嬉しいことです。
活動する上で必要なこと
監督やコーチ、選手とのコミュニケーション力が必要です。高校生は怪我のことをわかっていないことが多く、それを分かりやすく説明してあげなければいけません。高校スポーツは企業、プロスポーツと異なり、設備や機材が十分に整っていません。学校にあるものを使ってサポートしていく応用力も必要です。
大切にしていること
選手一人ひとりと話をすることです。高校生のこれからを考えて、選手自身が何が必要かを考えて行動し、人間的に成長していけるようなサポート活動を心がけています。

2.「大学におけるアスレティックトレーナーとしての活動」

笹木 正悟先生(東京有明医療大学 保健医療学部 柔道整復学科)

笹木先生は早稲田大学ア式蹴球部(アソシエーション式フットボール)でトレーナー活動をされています。チームに選手は85名おり、4名のトレーナーと、ドクター、栄養士でメディカル部門が構成されています。東京有明医療大学の卒業生もトレーナーとして携わっています。 笹木 正悟先生
パフォーマンス発揮のためのサポート
パフォーマンス発揮のためには、トレーニング、休養、栄養が必要です。チームには栄養士が入り、選手を指導しますが、全てをやってあげるのではなく、自分自身でコンディション管理ができるようになることに重きをおいて指導しています。
大学サッカーはプロを目指すための1ステップ
チームには卒業後プロに進む選手や既に日本代表に選出されている選手がいます。そのような選手を預かり、次のステップにつなげてあげる仕事は大学におけるトレーナー活動で得られる貴重な経験です。 早稲田大学では「WASEDA The 1st!」というスローガンを掲げています。 サッカー選手としてだけでなく、大学卒業後も社会人として一流であれるような人間性を作っていくことを目指して、監督、コーチ、トレーナーが連携して指導しています。
喜び、やりがい、面白さ
サッカー選手として、人間として学生が「4年間」で変化する成長を見守れることです。
活動する上で必要なこと、大切にしていること
選手と離れてしまうと心を開いてくれないので、一緒に考え、悩み、挑戦することが必要だと思います。ただし、選手の言いなりになるトレーナーではないので、軸足は「スタッフ」として置き、目の前のことだけではなく、どうしたらサッカーでも人間としても活躍できるかを考えながら監督・コーチと連携しています。

東京有明医療大学におけるトレーナー活動

3.「社会人クラブチームにおけるアスレティックトレーナーとしての活動」

小山 浩司先生(東京有明医療大学 保健医療学部 柔道整復学科)

小山先生はアメリカンフットボールの社会人クラブチームであるラングラーズでアスレティックトレーナーとして活動しています。 東京有明医療大学のアスレティックトレーナーコースでは実習の一環でラングラーズのサポートをしています。毎年、3月に東京有明医療大学でメディカルチェックを行い、結果を本学の学生がまとめ、選手にフィードバックします。12月までほぼ毎週行われる練習にも帯同しています。最近は選手自身が練習前後に体重を測るようになるなど、サポートを始めた頃に比べてコンディション管理の意識が高まってきたそうです。夏には合宿にも帯同しています。試合は年7試合あり、ウォーミングアップや試合中の怪我の処置を行うこともあります。 小山 浩司先生
仕事をするようになったきっかけ
大学生時代に体操競技の学生トレーナーをやっていました。トレーナーを続けるには医療系の資格が必要ということで柔道整復師の免許を取得しました。
トレーナーとしての喜び、やりがい
チームが勝つことが最高に嬉しいです。最初は見学をしているだけだった学生が、お願いすればテープを巻いてくれたり、何も言わなくても自分で次の仕事を探して動けるようになっていることを目の当たりにできることがやりがいです。
活動する上で必要なこと
コミュニケーションが必要です。信頼関係を保てると、選手の言いたいことを引き出したり、トレーナー活動がやりやすくなります。トレーナー同士のコミュニケーションも大事です。 教員、学生、選手が一体となってラングラーズを盛り上げていきますので、アメリカンフットボールを見る機会がありましたら是非注目してみてください!

社会人・ナショナルチームにおけるトレーナー活動

4.「企業スポーツにおけるアスレティックトレーナーとしての活動」

長田 瑞絵先生(花田学園 アスレティックトレーナー専攻科)

長田先生はパナソニック 女子陸上競技部でアスレティックトレーナーとして活動されています。企業スポーツにおけるトレーナー活動の特徴をお話いただきました。 長田 瑞絵先生
活動費の充実と求められる結果
企業スポーツの特徴は活動費が充実していることです。年間を通して国内外での合宿が可能なほか、ウェアやサプリメントに至るまで所属企業が負担してくれます。選手自身が金銭を負担することはほとんどありませんが、その代わり結果を求められます。
活動内容
現在担当しているのは長距離チームです。選手が9名、スタッフは監督、コーチ、マネージャーが4名、トレーナーは3人です。競技種目はトラックレース(1500m、3000m、5000m、10000m)、ロードレース(フルマラソン、ハーフマラソン)、クロスカントリー、駅伝と多く、年中レースが行われているため、合宿・遠征が続きます。昨年は180日間帯同しました。 練習前にはストレッチや筋出力を出しやすいトレーニングをやってあげます。長田先生はテーピングをあまり使いません。テーピングを必要とする状態であれば休養を取ったり練習メニューを変えることで対応しています。給水やタイム測定を手伝うこともあります。 マラソンの練習では月間1,000km以上走り込むため、トレーナーの仕事は疲労回復のサポートが多くなります。はり治療、お灸が好きな選手が多いです。マッサージよりもはり治療だけを求める選手もいます。 陸上競技は走る、跳ぶ、投げるといった基本動作が中心となりますが、それが故に治療が難しいことがあります。選手は少しの痛み、違和感でフォームが崩れてしまいます。アスレティックトレーナーの役割の中で特に重要なのは「コンディショニング」、「健康管理と組織運営」、「教育的指導」だと考えています。 体脂肪、体重の管理をはじめオーバーワークにならないように選手には起床時の体温や心拍数を日誌に付けてもらっています。 高校を卒業してすぐの選手は正しいストレッチやアイシングのやり方を知らないことがあり、指導が必要です。治療器の使い方も教えます。 ドーピング対策として、普段どのような薬、サプリメントを摂っているのかをチェックしています。 日本代表チームに入るとトレーナーが選手に手をかけられるのは1日に30分程度しかありません。そのため選手には日本代表になったときに困らないように自分自身で管理ができるように指導しています。
どうやって現在の仕事に関わるようになったのか
専門学校時代の担任の先生を始め、周りの方から声をかけてもらい、現在の仕事に就いています。
夢を叶えるためにはどうしたらいいか
人と人とのつながりが重要だと思います。怪我がなかなか治らない選手と接する中で、本を読んだり、セミナーに参加することで自分に力を貸してくれる人とのつながりが生まれていると思います。新しいことに挑戦するときは考えてしまうことがありますが、臆せずに挑戦することが大事だと思います。

5. 「日本代表チームにおけるアスレティックトレーナーとしての活動」

佐瀬 由紀子先生(花田学園 アスレティックトレーナー専攻科)

佐瀬先生はソフトボール女子、バスケットボール女子、サッカー女子日本代表のトレーナーを務められ、当日はその活動内容を紹介してくださりました。

講師からのメッセージ

最後に講師の先生方から将来トレーナーを目指す若者へメッセージをいただきました。
  • 競技、所属チーム、周りのスタッフによって求められるものは異なると思いますが、自分はどういうトレーナーを目指したいのかを忘れないことが大事だと思います。自分の思いを忘れないでください。
  •  大変な仕事ですが、とてもやりがいのある仕事です。選手が良い成績を残せたときの笑顔を見ると良かったと思えます。
  • 仕事の現場を選ばずにいろいろな競技のサポートを経験することが大事だと思います。
  • 好きなことを追求してください。目の前のことに一生懸命に取り組むことが選手に伝わり、チャンスを生むと思います。
  • 選手のために何ができるのか、自分が何をやりたいのかを持って活動して欲しいと思います。
講師の先生方からのメッセージ 以上、いかがでしたでしょうか。東京有明医療大学では今後もこのような公開講座を開催してまいります。