鍼灸学科

鍼灸の大いなる可能性
「こころ」と「からだ」にはたらきかけ、自然治癒力を高めるやさしい医学

鍼灸医学は中国で誕生し、二千年以上の歴史をもつ医学です。日本には6世紀頃朝鮮半島より伝わり、以来今日に至るまで多くの人々に親しまれてきました。なぜ、長い歴史の中でこれだけ人々の支持を得てきたのでしょうか?

鍼灸の魅力は、からだの表面に微細で心地よい刺激を与えることで、身体だけでなく、こころにも働きかけ、その人が生まれながらにしてもっている自然治癒力を高めていく効果を持っていることにあります。こうした鍼灸治療の効果や作用については現代科学の視点からも徐々に解明されつつあり、痛みの緩和をはじめとして、運動器疾患、女性疾患、老年病、スポーツ障害などに、幅広く活用されています。

また鍼灸医学は、日本や中国、韓国といった東アジアの国だけではなく、アメリカやドイツ、フランスなど欧米の国々でもConventional Medicine(従来の医療=現代医学)を補う、相補・代替医療(Complimentary and Alternative Medicine)のひとつとして高い評価が得られています。これは鍼灸治療が手術や薬物などにできるだけ頼らないNaturalな医療であること、またコスト的にも現代医学で行われている治療費に比べて安価であることが理由としてあげられます。

本学科では現代医学の知識をしっかり修得した後、実習を通じてさまざまな鍼灸の技術を身につけ、病院などの医療機関で他の医療従事者とともに活躍できる優れた臨床家の育成を目指しています。

学科長メッセージ

無限の可能性を秘めるアキュパンクチャー
鍼灸学科 学科長 高倉伸有

鍼灸学科 学科長 高倉伸有

今や欧米で“Acupuncture(アキュパンクチャー)”と言ったら知らぬ人はいない“鍼”。アキュパンクチャーは、病気の予防や、現代西洋医療では手の届かない症状にアプローチできるオリエンタルメディスンとして、世界トップクラスの医学大学や医療機関でもその研究が進められている“期待大”の分野です。私たちは、アメリカのハーバード・メディカル・スクールから客員教授を招くとともにボストン研修旅行やユニークな研究を展開して、世界をリードするアキュパンクチャーの研究者やアキュパンクチャリスト(鍼灸師)の育成を目指しています。人や社会の役に立ちたい、海外で活躍したい、起業したい、子育てしながら仕事をしたい、スポーツ選手をサポートしたいというみなさんの夢を叶え、みなさん自身がパイオニアとなるであろう大きな可能性を秘めたアキュパンクチャリストを目指してみませんか!

鍼灸学科の3つのポリシー

有明での学び

1.「はり師・きゅう師」の国家試験合格に向けて

卒業時には、はり師、きゅう師の国家試験の受験資格が得られます。国家試験合格に向けて、1年次から4年次まで専門基礎科目から専門科目までを系統的なカリキュラム編成をしています。

2.「臨床力」を持った治療家になるために

様々な病気の診断法や実際の治療法、治療効果の評価方法、症例のまとめ方や報告の仕方にいたるまで、臨床家として必要な知識と技術が段階的に4年間で無理なく学べるようにカリキュラムが編成されています。

3.一流の教師陣から、「専門」の学びを

臨床経験豊富な学内の教授陣の他、大学付属病院や鍼灸院など臨床の現場で活躍されている専門の先生を多数お招きし、様々な専門領域の鍼灸治療の方法について学びます。

4.「世界へ広がる鍼灸」を知る

世界中の医師、研究者が鍼灸の効果に注目し、日々に研究を重ねている「新しい医学」でもあります。本学では国際学会や会議で活躍する教員が、世界の鍼灸医学について詳しく紹介していきます。

4年間の流れ

1年目

医療人としての教養と、鍼灸師になるための基礎的な技術を修得

  • 今の医療の成り立ちや問題点などについて学び、医療人として必要な教養を養います。
  • 「人体の構造学」、「人体の機能学」等の科目を通じて、医学の基礎を修得していきます。
  • 鍼灸治療で使うツボがしっかり取れるように勉強するとともに、安全な鍼の刺し方、お灸の据え方を少人数のグループ実習でしっかり身につけていきます。
2年目

基礎医学の知識をもとに病気の成り立ちを知る。鍼と灸の技術を確かなものに

  • 1年次に学んだ基礎医学の知識を土台に、「病理学」や「内科学」、「整形外科学」等の科目を通じて、病気一般に対する知識を身につけていきます。
  • 東洋医学的な病気の考え方、診察法、治療方針のたて方について理解を深めていきます。
  • 1年次からはじまった刺鍼、施灸の技術に磨きをかけ、身体のどの部分にも安全かつ正確に施術できる技術を修得します。
3年目

様々な病気に対する鍼灸治療のあり方を学ぶ

  • 2年次に引き続き、様々な疾病の成り立ちについて学んでいきます。特に鍼灸治療の対象になることが多い疾病については、「整形外科臨床鍼灸学」、「内科臨床鍼灸学」、「レディース臨床鍼灸学」、「スポーツ臨床鍼灸学」などの個別の科目で詳しく学んでいきます。
  • 「鍼灸治効理論(演習・実習)」では、「なぜ鍼灸は効くのか?」を文献や実験を通じて追求し、理解していきます。
4年目

患者さんとの交流を通じ、臨床家としての自覚を高めるとともに、将来に向けて学びを集大成

  •  「附属鍼灸センター実習」 では、実際の患者さんと接し、臨床家としての自覚を高めていきます。実習後は、自分が診た患者さんについて担当教員とディスカッションしながら治療効果の評価方法や症例報告のまとめ方についてもしっかり学んでいきます。
  • 「卒業研究」では、指導教官とがっぷり四つに組んでひとつのテーマを一緒に追求していきます。

ピックアップカリキュラム

スポーツ鍼灸学Ⅰ・Ⅱ

近年、アスリートのスポーツ傷害やコンディショニングに鍼灸治療が応用されています。スポーツ鍼灸学では、スポーツ傷害の診察、治療の適否、身体の機能的な見方、アスリートの復帰までのプロセスなどの鍼灸治療の方法を学びます。

また、コンディショニングとしての鍼灸治療など、過去の研究論文からの最新の情報を踏まえ、スポーツ医学のなかで鍼灸治療がどのように活用されているかを学びます。

レディース臨床鍼灸学

現代医学と東洋医学の両方の観点から女性のからだと心を捉え、ライフサイクルに応じた鍼灸治療の方法について学びます。特に、鍼灸臨床と関連の深い女性科疾患や愁訴を取り上げ、現代医学的な病態の把握の仕方および東洋医学的な病証について学習します。鍼灸治療の方法については、シミュレーション実習により習得します。

統合医療論

患者さんの視点に立った医療が求められるなか、現代医学と補完代替医療を組み合わせ、より良い医療を提供することを目的とした「統合医療」が注目されています。本科目では、音楽療法、芸術療法、アロマテラピー、温泉療法など、今後統合医療の中で期待される主な補完代替医療について、その方法や適応、効果などを学びます。

整形外科臨床鍼灸学

鍼灸臨床で扱うことの多いのは整形外科疾患です。腰や頸、肩、膝、手足の痛みなど、その原因となる病気の概要から診察の仕方、鍼灸の治療法、治療効果の評価方法に至るまでを実習を通じて学びます。

附属鍼灸センター実習

現代の医療現場では、医師と鍼灸師がチームを組んで治療にあたるケースが増えています。「附属鍼灸センター実習」は、チーム医療の一員として活躍できるように、本学附属の鍼灸センターで実際に患者さんと接し、鍼灸医療の流れを学びます。担当した患者さんについてのディスカッションを通じて、より実践的な臨床能力も養うことができます。また、「症例報告の書き方や発表の仕方」なども学び、学会発表やチーム医療の場で活躍するための準備も行います。

アメリカ ボストン 研修プログラム

アメリカ ボストン 研修プログラムについて

履修科目一覧

Webシラバスでは各授業の目標や内容を紹介しています。

進路について

たくさんの職業で鍼灸師は活躍しています。

  • 鍼灸師として勤務する

    大学病院、一般病院・クリニックなど医療機関に就職
    鍼灸院に就職
    介護施設などに就職

  • 研究者としての道を歩む

    国内外の鍼灸および医学系大学院に進学して鍼灸及び関連分野(生理学・スポーツ医学等)の研究者として活躍する

  • 教育者としての道を歩む

    鍼灸の教員養成施設、もしくは大学院修士課程に進学し、将来教員として活躍する

  • 独立開業する

    鍼灸師は医師や歯科医と同様、独立開業して患者さんの治療に当たることができます。

  • 企業・官庁に就職する

    鍼灸師の資格を生かして、鍼灸や健康産業関係の企業に就職する。
    公務員試験を受験して官庁に就職する。

  • スポーツの世界で働く

  • 美容の世界で働く

取得目標資格

  • はり師(国家資格)
  • きゅう師(国家資格)

国家試験・資格試験の合格率

はり師・きゅう師ってどんな仕事?

鍼灸は肩こりや腰痛など、いわゆる運動器の病気ばかりでなく、アレルギー疾患、女性の病気(冷え症や月経時の痛みなど)、小児の病気など幅広い症状に対応できる医学。髪の毛ほどの細い鍼(はり)、やわらかなもぐさを用いてやさしく体表面を刺激して患者さんの痛みや苦痛を緩和します。最近では美容やスポーツの世界でも注目されています。

就職・進学実績

卒業生の活躍